学年を超え、学ぶ楽しさを追求する特別講座
普段の授業とは違うテーマで生徒の興味を引き出す
自主性を尊重する校風のもとで、一人ひとりの生徒を、豊かな心と高い知性を持つ創造的人間として育成することに力を注いでいる桐朋中学校。中でも教員の専門性を活かした「特別講座」は、同校のユニークな取り組みの一つです。
特別講座では、生徒の興味を引きだし、学ぶよろこび、楽しみを知ってもらうために平常の授業ではとり上げられない内容をテーマにしています。そのため、「医学の基礎としての生物学」や「歩き、見る、歴史」など取り上げるテーマは実に多様です。
今年は村上春樹の大ファンという先生方による「村上春樹とフィッツジェラルド― 翻訳と文体づくり」が開講されました。その熱意が生徒たちの学ぶ意欲を刺激したようです。
中学3年生から高校2年生が参加したこの講座は、原文と翻訳を交互に読み、興味を持った箇所を数人のグループで話し合う、大学のゼミのようなスタイルで進行しました。先生と生徒、中学生と高校生という枠を超え、意見を交換したことも新鮮な体験となりました。
早速、講座に参加した生徒たちと指導した先生の声を伺ってみました。
村上春樹とフィッツジェラルド
岩﨑先生(国語科):アメリカ文学を代表する名著『グレート・ギャツビー』。翻訳も手掛ける小説家・村上春樹さんにとって最も思い入れの深い一冊です。「この本をぜひ英語の原文で生徒たちと読んでみたい」と、英語科の辰巳先生に特別講座の実施を相談。同じく英語科ALTのマシュー先生は日本文学にも関心が高く、一緒に協力してもらうことで、講座が実現できることになりました。
竹本陽くん(高2):大学でも文学について学びたいと思っているくらい文学が好きなので、興味を持ちました。多少英文が難しくても、単語のニュアンスや文章を読む考え方を学べて、とてもおもしろかったです。
伴雄一郎くん(高2):本格的な海外文学の翻訳小説を読んだことがなかったので、挑戦してみようと思いました。村上春樹の翻訳には『グレート・ギャツビー』への愛情が込められていて、ニュアンスを真摯に伝えることや、流れるようなリズム感を大事にしていることが感じられました。
大場悟くん(中3):この講座では、いつもの国語の授業よりも、一つひとつの単語を掘り下げられたり、話し合うことで、みんなが別の考え方を持っていることを発見できたりしたのが、とても刺激的でした。
澤本昌宏くん(中3):中学英語でどこまで理解できるか、力だめしをしてみたいと思いました。英文の原文を読むのはすごく難しかったけど、気になる表現を調べることで、とても勉強になりました。
マシュー先生(英語科):生徒たちがやる気を出して、言葉や文章の深い意味を追求する姿勢に感動しました。生徒たちと分析をしたり、意見を出し合うことがいい経験になりました。
辰巳先生(英語科):教員も生徒たちと対等な立場で話し合いに参加し、自分自身の学びにもつながりました。中高時代に好きだった文学を、時を越えて生徒たちと一緒に読んで、それについて話し合えたのが、とても楽しかったです。
特別講座をはじめ、桐朋中学校には知的好奇心と新たなことに挑戦するエネルギーがあふれています。11月には、そんな生徒たちのエネルギーを体感できる中学自由研究優秀作品の展示が行われます。この機会にぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。
※上記はNettyLandかわら版の抜粋です。全容はこちらをご覧ください。
桐朋中学校
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