この国で、世界のリーダーを育てたい。「世界」「英語」「専門」を深める6年間
「本校が中学開設以来、一貫して取り組んでいるのが、『世界で活躍する真のリーダーの育成』です。『世界』『英語』『専門』をキーワードに、高い学力だけでなく、志す道における高く深い専門性、国境を越えて人々と協働できる英語力、そして世界に目を向け、広い視野でものごとを考えることができる力を育てることを大切にしています。」
中高一貫部教頭の星先生のこの言葉通り、同校には、多くの体験の中で「本物」に触れることを通じて、生徒一人ひとりが将来の夢を発見し、それに向かって学び、夢をかなえる力を獲得するための様々な取り組みがあります。
7月初旬、同校の1日密着取材を行いました。今回はそこで見た、同校のユニークな取り組みの数々をレポートします。
短時間で集中力を高める「Mタイム」と「Lタイム」
生徒が登校してすぐ、8:15~8:40に表1のような流れで行われるのが「Mタイム」です。特徴的な取り組みが「速読練習」と「ワールドビュー」です。「速読練習」では、オリジナル教材を用いて、目の動きを速くし、情報の処理力を高めるための訓練を行い、速読力を養います。「ワールドビュー」では、各クラスの生徒全員が交替で新聞や雑誌から興味を持った記事を抜き出し、それに対する要約・感想・提案をレポートにまとめ、それを全員で読みます。新聞を毎日読む習慣を身につけるだけでなく、クラスメイトが取り上げた記事を読むことを通じて、生徒たちの知的世界を広げ、相互理解を促します。さらに、自分の考えをまとめ、意見を形成する力を養うことにも役立っています。
月水金の放課後には「Lタイム」と呼ばれる補習と自習の時間もあります。月曜と金曜は、英語と数学について先生が指名して行う補習と、ハイレベルの講習が行われています。いずれも17時から50分間。水曜は全員が教室に残って、20分間、自学自習をします。生徒たちは学力と同時に、短い時間を有効利用する集中力を身につけます。
表1 毎日行う朝学習「Mタイム」のメニュー
1. 速読練習(3分)
目の動きを速くし、目から読み取った情報を頭の中ですばやく処理するための訓練。
2. ワールドビュー(1分)
毎日の新聞や雑誌などから興味深い記事をピックアップし、それに要約・感想・提案を記した「ワールドビュー」を読む。
3. 英語のリスニング(10分)
耳と目と口を使って、約1週間同じ題材に取り組む。
4. 計算数学(3分)
問題集の指定された問題を解き、計算能力を高める。
5. 自習(残り時間)
限られた時間で集中して自分の課題に取り組む。
中学校の学びの集大成「K-SEP」と「カナダ語学研修」
中学校の学びの集大成である中学3年生では、7月に10日間の「K-SEP(Kyoei Summer English Program)」、2月には4週間にわたる「カナダ語学研修」という2つのプログラムがあり、異文化体験づくしの1年間です。
K-SEPとは、カナダの大学生を先生として学校に招き、10日間にわたって英語を使って様々なレッスンやアクティビティに取り組み、カナダの生活や文化を学ぶプログラムです。最後の3日間は代々木オリンピックセンターに宿泊し、最終日のプレゼンテーションに臨みます。取材を行ったこの日はちょうどK-SEPの初日。まずはこれから10日間を一緒に過ごすカナダからの留学生12名の歓迎会が行われました。生徒によるウェルカムスピーチも、留学生からの挨拶ももちろんすべて英語。はじめは緊張していた生徒たちも、留学生たちのオープンな雰囲気に徐々に慣れ、その後行われたイントロダクションレッスンでは留学生との英語でのコミュニケーションを楽しんでいました。K-SEPでの留学生との議論や共同作業といった活動を通じ、単に英語を学ぶだけではなく、異文化への理解を深め、世界のリーダーとしての素養を養います。
K-SEPで学んだ英語と異文化への理解をさらに深めるのが、全員が参加し、4週間のホームステイ形式で行われる「カナダ語学研修」です。一軒のホストファミリーに生徒が最大2人までという「英語を使わざるをえない環境」の中、生徒たちは午前中に英語の授業を受け、午後には現地校の普通の授業や、多様なアクティビティを通じてカナダの大自然に触れるなど、様々な経験をするなかで視野を広げていきます。
また、真の国際人には異文化を理解するだけでなく、日本人として自国の歴史や文化を他国の人に正しく伝えられることも必要です。カナダ語学研修ではそのトレーニングとして、現地校において英語で日本を紹介するプレゼンテーションを行います。このプレゼンテーションに備え、出発前の学習として英語はもとより、日本の歴史や文化に関してもきちんと学ぶことを重視しています。
カナダでの1ヶ月間におよぶ様々な体験を経て、生徒たちは一回りも二回りも成長して帰国します。たくましく成長した子どものその姿に、多くの保護者は驚くそうです。
年間8回開催の「講演会」は本物に触れる貴重な機会
取材を行ったこの日、中学3年生がK-SEPのレッスンを受けているのと時を同じくして、中学1・2年生では「講演会」が行われていました。様々な分野の最先端で活躍する講師を招き、「本物」を体験する場が、この「講演会」です。長期休暇中を除きほぼ毎月行われ、同校が力を入れている取り組みのひとつです。講演テーマは多岐に渡り(今年度テーマは表2参照)、それぞれの分野の第一人者が生徒たちの知的好奇心を刺激します。この日のテーマは「企業の社会貢献」。生徒たちはメモをとりながら、講師である企業の方の話を真剣に聞き入っていました。このような経験は、普段の学校生活だけでは知り得ないような様々な世界を知り、自分たちの将来の可能性を探求する貴重な機会となっているそうです。
また、単に講師の話を聞くだけでなく、入念に事前学習を行うことで有機的な学習を実現しているのも同校の講演会の特徴です。生徒たちは講演テーマについて事前に調べ、レポートにまとめた上で講演会に臨みます。これによって講演での学びが、ずっと深いものになっているそうです。
表2 2013年度の講演会テーマ
対象学年 | テーマ | 講師 | |
4月 | 全学年 | 「私の歩んだ道~自然に学ぶ楽しさ~」 | 白川英樹先生(2000年ノーベル化学賞) |
5月 | 全学年 | 「夢の実現」 | 土肥義弘先生(元プロ野球選手、本校卒業生) |
6月 | 1年 | 「メディアクリエーターの世界」 | プロダクション会社代表(本校保護者) |
2・3年 | 「日本の公害防止対策技術」 | 県環境アドバイザー | |
7月 | 1・2年 | 「企業の社会貢献」 | イオンリテール株式会社 |
9月 | 1年 | 「裁判員制度について」 | さいたま地方検察庁検察広報官 |
2・3年 | 「認知症について」 | 介護老人保健施設 施設長 | |
10月 | 1年 | 「新聞のおもしろさ」 | 朝日新聞社 |
2・3年 | 「国境なき医師団の活動」 | 国境なき医師団日本 | |
11月 | 全学年 | 「創立10周年記念講演」 | 茂木健一郎先生(脳科学者) |
2月 | 1・2年 | 「宇宙開発の今と未来」 | JAXA 宇宙航空研究開発機構 |
一人ひとりの夢をかなえリーダーシップを育む
「本校では、生徒が実際に経験することを通して力をつけ、自らの将来の道を切り拓いていけるような人になってほしいと考えています。そのような力を身に付けた人は社会に出ても必ず、周りから信頼され、リーダーシップを発揮できるはずです。その素養を育てる教育が、本校にはあります。」取材の最後に星先生は力強くこう語ってくれました。
さまざまな取り組みを通じて真のリーダーとしての素養を育む春日部共栄での6年間は、きっと子どもを大きく成長させてくれる時間であることを、今回の取材を通じて強く感じました。学校説明会へ足を運び、ぜひそれを確かめてみてください。
春日部共栄中学校
[学校HP]http://www.k-kyoei.ed.jp
〒344-0037 埼玉県春日部市上大増新田213番地
☎ 048-737-7611(代)
最寄駅/東武野田線・東武スカイツリーライン「春日部駅」からスクールバスで10分。