私学探検隊

都心の自然のなかで、生物部は今日ものびのび、せっせと活動中

超都心なのに、校地が広く緑豊かな絶好の環境

この日、校内で採集した植物を生物実験室でスケッチ。鉛筆で描いたあと、色鉛筆で色づけをしていく

学習院女子中・高等科は新宿に近い都心にありますが、校地が東京ドームの1.4倍と広大で緑が多く、空も感動的なほど広い。鳥たちも、街中で見かけるのはスズメやカラス、鳩くらいですが、同校ではシジュウカラやコゲラがつねに見られ、時にはハヤブサが空高くに見えることもあるとか。
では、同校にはどれだけの植物が生息しているのでしょうか。1970年代には校内の植物リストがありましたが、それ以降改訂されていませんでした。そこで、同校の生徒が声を上げて2008年に「改めて調べてみよう」ということになったそうです。
08年から12年までの4年間で草本類95種、木本類71種を確認。今年も調査を続けています。
放課後、同校の生物部を訪ねました。校内の隅にある小さな畑に向かうと、「ごきげんよう」という元気な声が迎えてくれました。畑のあとは、生物実験室に移動して植物を観察・スケッチしたり、文化祭に向けて鳥の観察記録の清書などに集中。
部員は中1から高2までの14名。活動は火曜と金曜の週2日です。

絵も描き、料理もするのが学習院女子の生物部

植物だけではない。こちらは、切っても切っても再生するプラナリアの観察

生物部といえば、解剖がすぐに思い浮かびますが、同校の活動はバラエティ豊かです。
「絵も描けるし、料理もできるところが魅力でした」と、入部の動機を語ってくれた生徒がいましたが、同部では絵も描くし、料理もするし、染め物もするし、登山もします。
“生物”に関係することなら、生徒が興味をもち希望すれば、何でもやってみるのです。
「興味をもったらやってみる。そして自分で考えることを大切にしています」と、顧問の中村瑞穂先生は言います。
「絵を描く」……採集した植物を記録するためにスケッチし、スケッチ後は標本を作成。
標本は、押し花のように植物をプレスしてファイルします(写真参照)。
「料理」……畑で育てた野菜を収穫後にみんなでいただく。
「ジャガイモは塩ゆでにしました。煮込めるものはコンソメスープにしたり、サツマイモで蒸しパンを作ったことも」と部長の丸山有彩さん(高2)が言うと、「生物部の生徒たちは、包丁さばきも塩加減も部活で覚えるんですよ」と、中村先生が笑います。
「染め物」……畑に植えたタデアイで「藍染め」をする。
叩き染めのハンカチを見せてもらいましたが、インディゴブルーがとてもキレイ。白い布の上に葉を置いて木槌で叩き、発色させるのですが、「強く叩きすぎると葉脈が潰れてしまうし、弱すぎると色がつかない」のだそうです。
「登山」……植物や鳥の観察のため、夏合宿では山に登る。
今年は夏合宿以外にも高尾山や景信山、日向山にも登り、観察をしたそうです。
「生き物のおもしろさを知り、人間性を豊かにしてくれるような活動をしています。また、活動をとおして仲間と一緒に楽しむことを大切にしています」と中村先生が言うように、先輩後輩の垣根がなく、雰囲気はとても和やかです。
この日も、弾んだ声は飛び交っていましたが、せっせと手を動かす部員たち。
自由にのびのびと、でもシャキッと。同校の校風を垣間見たような気がしました。

植物はプレスしてファイル。右はヒオウギスイセン、左はヒルガオ(部長・丸山さんの作品)

タデアイの叩き染め(夏休み中)。文化祭「八重桜祭」では来場者に藍染めを体験してもらった

学習院女子中等科
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