人間学・友教え・7つの学習。校則も廃止。
目先の点数・成果の前に自己確立をめざす
「今までにない学校を作ろう」を合言葉に、4月から男女共学校としてスタートを切った新渡戸文化中学校。今までにない学校とは、どのようなものなのでしょうか。その疑問に中学校教頭の吉田富雄先生は、「偏差値ばかりを追い求めない教育と国際教育ですね」と答えてくれました。
何より大切なのは、授業だけでなく学校生活のすべてを通して自分を確立させること。そのベースとなるのが人生設計学習、日本文化学習、組織学習、自己発見学習、イベント学習、躾学習、地球市民学習という7つの学習です。
「本校の初代校長が新渡戸稲造先生なのですが、その建学の精神の一つに『知育に偏らない、思慮と判断力を養成する』とあります」と吉田先生。勉強も大事。けれども学んだ知識を生かし、それを社会で役立てていくには『自分で考える力』がもっと重要になる。80年以上前の建学の精神は、現在でも非常に重要な意味を持っています。それを生徒に身につけさせるのが、7つの学習。特にベースとなるのは自己発見学習です。生徒はさまざまな場面で気付きを体験し、その上で仲間と議論を交わし、その経験から自己の進むべき道を見つけていきます。「国際教育である地球市民学習も、単に英語を話せることを目指すのではありません、日本語を学び、自分の中に伝えたいことを見つけることからスタート。日本文化を知ることも、世界に伝えることを身につけるためのものです。授業では三味線を指導しますが、これも海外の人に日本文化を伝えるため。元女子校のメリットが、こういう部分で生きてきますね」。
自らの意思で選ぶかっこいい生き方
また、細かな校則を廃止したことも特徴の一つ。「もちろん制服の着方などの決まりはあります。女子の場合、昨年までは髪の毛が肩まで伸びたら結ぶことになっていましたが、それも自由にしました。かと言って、髪の毛が長い女子が皆結ばなくなったかというと、そうでもないんですね。『これならおかしくないんじゃないかという結論になって、結ぶのをやめました』、『結んでいてもかっこいいと思うからそのままです』など、それぞれが自分で考えて決めている。規則ではなく、規律で育てていくんです。生徒にはかっこいい生き方という言い方で伝えています」。ほかにも生徒会を廃止に。全学年の生徒を誕生月によって四季別のグループに分類し、体育祭などのイベントには各グループから担当を選び、役割を決めて行います。クラスと、この四季のグループ、そしてクラブ活動という異なる活動の場で、人格を育てる、役割を学ぶ、やりがいを発揮するということを学びます。
「それと」と吉田先生。「先生が『頑張れ』と生徒に言わないようにしています。たとえば、好きなテーマパークに行く日であれば、早起きだって頑張らなくてもできますよね。学校へ登校することも、勉強することも、そういう気持ちで臨んでもらいたいんです。更に生徒に対する教師のアドバイスも」。勉強だけでなく、6年間の活動を通して自己の確立を目指すのが、新渡戸文化流。その成長の過程も、楽しい思い出となるに違いありません。
新渡戸文化中学校
[学校HP]http://www.nitobebunka.ed.jp/
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