「宿泊農村生活体験」で培う、コミュニケーション力
植樹、田植え、そば打ち、民泊。濃厚な2泊3日の体験
昨年開校した東京成徳大学深谷中学校の建学の精神は、「徳を成す人間の育成」。その実現のために、次の5つを教育目標に掲げています。
(1)おおらかな徳操 (2)高い知性 (3)健全なる身体 (4)勤労の精神 (5)実行の勇気
そして、(5)の目標のために、同校ではとくに「行事」を大切にしています。豊富な経験が、何事においても一歩を踏み出す力になるからです。徹底した面倒見教育や実践的英語力の育成など、同校の特徴は数多くありますが、今回はその「行事」にスポットを当ててみましょう。
その行事の1つ、中2の「宿泊農村生活体験」(2泊3日)が5月に新潟県上越市・十日町市で行われました。
1日目は、モリアオガエルの産卵という貴重な光景に目を輝かせたり、ブナの植樹も。
2日目は、そば打ち体験から始まりました。名人に指導を受けながら、茹でるまでの全過程は2時間半。午後は田植え体験です。裸足で入った田んぼの泥の感触に歓声をあげたり、女子がおたまじゃくしに驚いて泣き出すなど、初めての体験はドキドキだった様子。「隅々まで植えて初めて終わるのだから、協力し合って作業するんだよ」という農家の方の言葉が、生徒たちの心に響いたそうです。夜は、3~5人のグループごとに各家庭に泊まりました。
最終日の午前中も山菜採りや精米体験など、さまざまな体験をさせてもらいました。帰り際には、お世話になった方々と写真を撮るなど、別れを惜しんでいたそうです。
生徒の成長を一番感じるのは、いくつもの「行事」
同校には地元名産の深谷ねぎに関わる行事もありますが、中学校教頭の富岡達夫先生はこう言います。「地元から地域を広げようと選んだのが新潟県です。延長線上には海外があります。そして、すべての根底にあるのはコミュニケーションなんです」。まずは地元の方と触れ合い、他地域の方と触れ合い、中3になったら農業体験を含むマレーシアとシンガポールへの修学旅行へ。このように、すべてのプログラムは“コミュニケーション力の育成”につながっているのです。
じつは、この「宿泊農村生活体験」の1週間後には体育祭がありました。同校は週6日のうち、2日は7時間目まであり、放課後も講習や補習が。講習がない日は部活動に励みますが、そんな限られた時間の中で、生徒たちは、始業前や放課後に自主的に練習時間を捻出していたそうです。
「普段の勉強でも成長を感じますが、やはり一番成長を感じるのは行事です。2年生は下級生もできて、1年前よりさらにたくましくなったと思います」(富岡先生)
今の中2が最高学年になった時が、さらに楽しみです。
東京成徳大学深谷中学校
[学校HP]http://tsfj.jp/
〒366-0810 埼玉県深谷市宿根559
☎ 048-571-1303
最寄駅/JR湘南新宿ライン(高崎線)「深谷駅」徒歩25分、スクールバス7分。秩父鉄道「行田市駅」、JR・東武東上線・秩父鉄道「寄居駅」、東武東上線「森林公園駅」からもスクールバスあり。