理系学部を志望する生徒が4割。豊富な実験が生徒の興味をかき立てる、理科の授業
中学の3年間は興味を広げる時期
中高一貫校の多くがそのメリットとして先取り教育を挙げることが多い中、日本女子大学附属中学校・高等学校では中学での3年間を、勉強への興味を広げる期間と位置づけています。多くの教科で自ら調べ、考えることを重視。たとえば理科であれば実験や観察の機会を多く取り入れています。今回はこの理科の実験・観察に関してお話を伺いました。
実は日本女子大学附属中学校では、3年間で131回もの実験を、理科の授業で行っています。これは中学校の理科の授業のほぼ全時間に相当。校内には科学棟と呼ばれる理科専用の教室棟があり、その中の教室で中学1年生から3年生までが常に実験や観察を行っているのです。この日の中学1年生は「土の中の生物の観察」がテーマでした。本来なら校内の山の中で生徒が土を採取してくるのですが、残念ながら雨だったため、先生が前日に土を採取。林の中と外で、土中にどのような生物がいるのかを比較します。当然ミミズなども出てくるので教室からは悲鳴も聞こえてきますが、怖さよりも興味が勝るようです。2年生はエタノールと水の混合物を加熱して、そこから出てくる蒸留物を調べる実験。ガスバーナーで熱し、その時間で比較するわけですが、生徒たちは中学生になって初めてマッチを擦りました。この実験を通して、エタノールと水の沸点の違いなどを体験的に学んでいきます。
3年生はバナナのNA抽出に挑戦
さらに3年生は「バナナのDNAの抽出」という実験に取り組んでいました。すり下ろしたバナナをろ過し、中性洗剤と混ぜたものにエタノールを加えると、ろ液の上部にモヤモヤッとした雲状の物質が。実はこれが、バナナのDNAなのです。DNAを実際に見るのは初めての生徒たち。しかもそれは、自分たちで抽出したものですから、興味深く観察します。この実験は教科書にも方法が載っていますが、バナナを冷凍することですり下ろしやすくするなど、先生たちによる独自の工夫も取り入れています。
副校長の下村由紀子先生によると「とにかく、実験や観察を通していろいろなことに興味を持ってもらいたい」そうです。特に1年生は恵まれた環境を生かして植物や小動物、岩石や天体などについて観察。授業で毎回のように実験・観察を行うので、科学棟の実験室は常にフル稼働。この結果、女子校としては珍しく、大学進学時に理系を選ぶ生徒が4割を越えるのだとか。豊富な実験が、生徒たちの探究心に火を点けるのかもしれません。先生たちの取り組みは着実に成果を上げているようです。
日本女子大学附属中学校
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