佼成学園女子中学高等学校
パレスチナの今について考える国語の授業
ハマース主導のパレスチナ人戦闘員によるイスラエルでの越境攻撃から1年が過ぎました。ガザ地区の保健当局は10月6日、これまでに4万1870人が死亡したと発表していて、住民の犠牲は増え続けています。(NHK「ガザ地区戦闘1年 死者は4万1000人超に 停戦に向けた協議は停滞」2024年10月7日更新 より)
平和への道筋が全く見通せないなか、私達は何を考えるべきか。
高1現代の国語(SGコースと留学コース)、高2文学国語(特進コースとSGコース)の授業では、戦争と平和について考える授業を展開しています。生徒達は夏休みに、戦争に関連する本を自分で選んで読み、読書ノートに記録しました。
2学期最初の授業で、一人ひとりが読書紹介スライドを作成。自分が読んだ本の「いち推し引用」と「私なりに考え続けたい問い」を考えました。
その後、グループごとに本を紹介し合いました。さらに、グループのなかで最も支持を集めた本を、クラス全体の前で紹介しました。
以下、お互いに読書紹介した後、生徒が書いた振り返りの一部です。
それぞれ違う本を読んでいたけれど、共通して戦争の不毛さや人々の絶望などの悲観的なものが観点に置かれているものが多かった。どの本も一つの戦争に対して詳しく書くことで具体的な被害がわかり、読者への教訓としているのではないかと思った。
『戦争とバスタオル』という本のテーマ<バスタオル=平和の象徴>は普段全く考えたことがなかった。 戦争が単に「遠い過去」や「遠い国」で起きるものではなく、私たちの日常生活にも影響を与えているということが、バスタオル=平和の象徴からわかった。日常に潜む戦争の影響や、その遠いと思っていたものが実は身近であることに、改めて考えさせられる機会となった。
戦争の歴史を語る際、どうしても被害者としての日本の姿ばかりが強調されがちですが、加害者としての側面も忘れてはならないと感じました。戦争による被害だけでなく、日本が引き起こしてしまった悲劇も、もっと広く世間に知ってもらう必要があると強く思います。そのために、過去の過ちをしっかりと認識し、その経験を今後の平和な未来に活かしていくことが重要だと感じました。戦争の教訓をただの歴史として片付けるのではなく、その後悔や反省を次の世代に伝え、未来に繋げていきたいと思います。
10月に入ってからは、岡真理さんの文章(『棗椰子の木陰で』2006, 青土社)を読解しながら、「戦地で多くの人が亡くなっているなか、文学に何ができるのか」という問いを考えています。
メディアの戦争報道が持つ問題点を踏まえ、どうすれば人々の生の内実や心の痛みに思いが至るか、考察しています。
生徒達は、模範解答なき問いに真剣に向き合い、自分自身やクラスメートとの対話を続けています。