郁文館中学校
【起業塾】重度訪問介護・居宅介護事業などのプロに教わる「福祉」とは

郁文館では、東証プライム企業の経営者でもある本校の渡邉理事長を専属メンターとし、高校生起業家の輩出を目指す「起業塾」という特別講義を展開しています。
起業塾には、時代を先導する現役の企業経営者に直接講義を行っていただくプログラムがあります。今回はその一環として、重度訪問介護・居宅介護事業や資格講習事業など、6つの事業を行う「株式会社障碍社」代表取締役 安藤 信哉さんに講義を行っていただきましたので、その様子をご紹介します。

▶起業のきっかけ 「逆境こそチャンス」
安藤さんは高校生の頃から社長になりたいという思いはあったものの、今振り返るとそのための努力はできていなかったと話します。
そして、自身が18歳のときの交通事故をきっかけに、さまざまな気づきを得て起業へと歩みを進めました。「逆境こそチャンス」と捉えた安藤さんは、「障がいがあっても自由に暮らしたい」「障がい当事者の地域生活を支えているヘルパーさんの社会的地位を向上させたい」「重度障がい者の方の就労機会を作りたい」という思いのもと、起業を決意したと話します。
▶どんな人でも最大限活躍してもらうために「自分自身でサイクルを回す」
株式会社障碍社では、好循環を生むピアサポートサイクル(当事者同士の支援)を生み出し、「障がい者は擁護の対象(客体)ではなく、ユーザー(利用者)が制度の主体」という特徴があります。
そのなかで安藤社長は「どんな人にとっても『本人の主体性』が大切」だと話します。
「自分のことは自分で決める」—— これは当たり前のようで、実は最も大切なこと。福祉においても、支援を受ける側が受け身になるのではなく、 ユーザー自身がヘルパー(介護士)のシフトを調整し、生活のサイクルを自ら管理する仕組みを作りました。
この新しい仕組みにより、 自分で選び、決定し、実行することが自己肯定感の向上につながると話します。福祉とは、決して「至れり尽くせりの支援」ではなく、主体性を持って関わることでより良いものになるのだと、生徒たちに伝えました。
▶人生で大切なこと
最後に、安藤さんがこれまでの人生で学んだ「人として大切なこと」を生徒たちにシェアしてくれました。
安藤さん自身、事故後、多くの人が「がんばれ」「きっとよくなるよ」と声をかけてくれたものの、時間が経つにつれて疎遠になったと振り返ります。そんな中でも変わらず寄り添い続けた人こそ、本当の仲間だったと話し、「SNSのフォロワー数を数えるのではなく、心から信頼できる仲間を大切にしてほしい」と生徒たちにメッセージを送りました。
▶講義を聞いた生徒からは、次のような感想が寄せられました。
「自分がいかに狭い視野で生きていたのかわかった。今日の話を聞いて視野が広がった」
「世の中全体の考えを変える必要があると感じた。今日の気づきを、世界を変える第一歩にしたい」
「友達の多い人をうらやましく思うことがあったけど、今そばにいてくれる友人を大切にしたいと思えた」
学生時代の「起業したい」という夢をかなえ、さらに「障がい者福祉総合企業」への夢を話してくれた安藤さん。現状に満足せず、更なる夢を語る姿に生徒たちは刺激を受け、夢の実現へ向けて決意を新たにしていました。
今後も「起業塾」の様子を特集していきますので、ぜひ楽しみにしていてください!
■安藤 信哉(あんどう しんや)氏
・株式会社障碍社 代表取締役