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大妻中野の帰国小学生英語講座見学記

大妻中野の帰国小学生英語講座見学記

大妻中野中学校・高等学校は、2016年から、帰国生クラスを発展させた、国内生、海外帰国生で構成する、グローバルリーダーズコース(GLC)を設置。また学校単独での海外説明会、シンガポール入試など、いち早く海外での募集活動も行い、在籍する帰国生は全体の1割を占め、海外での滞在国も30カ国に及びます。国際社会で活躍する人を育てるグローバル校としての独自の存在感を示し、立ち止まることなく前に歩み続ける大妻中野。今回は帰国小学生英語講座をお伝えします。


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11年目を迎えた帰国小学生英語講座
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 大妻中野中学校では11年前から、同校のネイティブ教師による帰国小学生英語講座を開いています。4月から翌年3月までの毎週土曜日の午前中約2時間、帰国小学生が海外で身に付けた英語を保持、そしてその力を伸ばすように、アクティビティと4技能のバランスを取って学んでいます。中には保護者が英語ネイティブというお子さんも。また年度途中、いつからでも参加可なので人数は変動しますが、今年度は6月現在、約50名が登録しています。

◆4月、今年度の講座がスタート

 今年度のキックオフは4月14日(土)でした。この日は19名が出席、うち7名が初めての参加、12名は昨年からの継続で、打ち解けた空気と、新しい仲間と出会う緊張とでやや固い空気でスタート。冒頭、帰国小学生講座と中学入試を経て入学した在校生が英語で歓迎のスピーチをしてくれる姿に、見学の保護者は何ヶ月か先のわが子の様子をイメージしているのかもしれません。
 この講座で大妻中野は、入学してもらうことを考えているわけではなく、小学生たちには英語の保持や友人作り、保護者には帰国生を持つ親同士が知り合い、意見や情報、内面を共有することを願っていることは、宣伝臭のなさからも伺え、学年や地域を越えたプラットフォームになっているようです。
 さて初回は、自己紹介ののち体育館に移動、ドッジボールを楽しむうちに初対面の固さが徐々に薄れてきて、初参加の子ども達の表情にも笑顔が出てきます。講座担当のWillie Vickers先生は、アメリカで社会を教えていた教師経験もあり、生徒のやる気を引き出すのがとても自然で、発言の多い子、少ない子両方に目配りしながら、全体をまとめます。第一回講座を終える頃には、子ども達は友達関係へ一歩踏み出したようでした。

◆英語が好きで楽しい

6月9日(土)。約二ヶ月を経て、子ども達はどんなふうに変わったのか楽しみにしながらに講座を再訪。公立小学校の登校日にあたり、出席者数は10数名とこぢんまりした回となりました。今日は、“ai”“ea”“ee”を含む単語を挙げるというシンプルな問いに、自分とVickers先生とクラスの他の子とのやりとりを重ねながら活発に声を上げていきます。参加している小学生は、「英語が好きだから楽しい」「普段は英語を使わないので、小学生の友達と英語で話せることがうれしい」と話してくれました。その笑顔は、楽しさの何よりの証。

取材した二回の講座で、見学中の保護者にも話を伺いました。
学年は3年生から6年生まで幅広く、かつ今のお住まいも、海外での滞在国も多様なバックグラウンドをお持ちですが、共通するのは、子どもが海外で身に付けた英語力の保持には苦労があり、インターネットや口コミで大妻中野の講座を知って通い始めたという点。イベントでパーティーを開いたり、講座中にもVickers先生が保護者に声をかけてくれるので、大人にとっても英語を聞いたり話したりする機会として機能しているようにも感じられます。どうしたら子どもが積極的になるのかしらというようなお悩みを、先生に相談して一緒に考えられるのも魅力といえそうです。この講座が無料とは驚きです。

◆高1生GLCは2クラスに

 6月9日は、前半はレギュラークラスを行い、後半はスペシャルメニュー。服部孝彦大妻女子大学・同大学院教授による、親子ペアや隣の子とのペアで、持っている英語の語彙をフルに使って伝える・伝わる醍醐味を感じるよう工夫されたゲームをとおして英語を楽しく学ぶ特別講座でした。普段、ご家庭で英語は話さない親子も、英語で話している親子も、表情が明るく楽しそうだったのは言うまでもありません。
 服部教授は、2011年度から大妻中野の英語教育および帰国生教育アドバイザーを務め、在校生のための特別講義も実施するなど、大妻中野の英語教育を支えています。

 同校は今年度、中学から高校に進級する際のコース選択でGLC希望者が多く、GLCは2クラスに増えました。同じ中学校、学年の友人がGLCで学んだ様子を見てきたうえで自分もGLCで学びたいと希望する生徒が多かったわけで、学校としても内側から評価されたと自信を深めています。

◇取材を終えて・・・・
大妻中野では、大学や企業とコラボしたプログラムも行っていますが、キリンホールディングス(株)もその協力企業のひとつ。来年3月には同社のベトナム工場を訪ねる海外フィールドワークを計画しているそうです。卒業生の話を聞いたり、海外留学や研修プログラムにチャレンジしたり、自分のしたいことを見つけるきっかけがあちこちにあります。中高6年間にどんな経験ができるか、学校選びに際して、ぜひ調べ考えたいポイントです。