東農大一中の”いのち”を感じて考える道徳教育 生物×社会学×医学×iPS研究所のコラボ授業
見て、聴いて、触って感じる様々な“いのち”経験からの学びを大切にする教育
東日本大震災、熊本の大地震など“いのち”について考える機会が特に多い昨今、東農大一中の中学1年生は実学に根差した“いのち”の授業に取り組んでいます。
その一環として、宿泊研修で農場を訪れた生徒たちは、出荷予定の牛や豚を見て、自分たちが動物のいのちを犠牲にして生きていることを学びます。教室に戻ると今度は、賞味期限後の食用有精卵を温め、胚となる頃まで観察を行います。最後に中を観察するには、卵を割る、つまり胚の命を奪うことが必要です。割るか割らないかは班で話し合われ、卵を割る場面では、思わず涙を流す生徒もいました。卵を割った生徒は「中を見たい気持ちと命を奪う怖さの両方の気持ちがあった。命を頂いた分、頑張って勉強しようと思いました」と話していました。
身近な命を学んだ後は、戦争やテロなどの世界で起きている命に関わる事柄について考え、ディスカッションする時間も設けられています。「農大の中学であるからこそ特に考えるべきテーマ。実際に体験することで、生徒それぞれが心で“いのち”を感じ、考えてくれています」と学年主任の生物教諭・武中豊先生。
教科の垣根を越えた様々な視点から“いのち”を感じて、知識と共に豊かな心も育んでいます。
医師の立場から生徒に伝えたい“いのち”の尊さ
いのちをテーマにした道徳教育の最後は、今年度から新たに就任した田中越郎校長先生による“いのち”の授業でした。医学博士であり内科医としての勤務経験をもつ田中先生が時間をかけて生徒たちに授業をするのはこれが初とのこと。その中では、人間としてこの世に生を受けたこと、豊かな日本に生まれ、学校で教育を受けていることが、いかに幸運なことであるか、そしてその幸運に感謝して勉学に勤しむことの大切さが伝えられました。その他にも、地球と生命の誕生、障害を持つ人との関わり、臓器移植など様々なトピックを挙げながら、生きるとは何か、死ぬとは何かについて生徒たちと共に考えながらメッセージを伝えていきました。話を聞いた生徒は「自分は何のために生きているのかを改めて考えた。将来は自分の使命をしっかり持って生きていきたいです」と話していました。
実学に根差した教育を様々なテーマで挑戦していく
「いただきます、ごちそうさまを必ず言うようになった」、「今までは気にも留めず食べていたものを、命としてとらえて味わって食べるようになった」、「毎朝通学途中で会う障害を持った方がいる。もし今後困っている場面に遭遇したら積極的にお手伝いしたいと思った」など、生徒たちは今回の道徳教育を通じた自分の気持ちや行動の変化を感じていました。
さらに、この“いのち”をテーマにした道徳教育は外部機関からも注目されています。今年は京都大学のiPS細胞研究所に招かれ、中学1年生を中心に50名が訪問します。「今回の道徳教育を通して生徒たちは様々なことを感じ取っている。研究所訪問後は、“いのち”に関して感じたことや考えたことを生徒自身の言葉でまとめ、外部にも発信したいと考えています」と武中先生。
後期の道徳教育は「他者」をテーマに、実学に根差した授業を展開します。知耕実学を掲げる東農大一中での本物に触れて感じる道徳教育に、今後も期待が寄せられています。
※上記はNettyLandかわら版の抜粋です。全容はこちらをご覧ください。
東京農業大学第一高等学校中等部
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