国内生と帰国生とが創り出す未来志向の空間
7・8月号で、かえつ有明中学の思考力を育む教科「サイエンス科」について報告させていただきました。今号では、高校での「プロジェクト科」について報告させていただきます。
一般社会で「プロジェクト」と言えば、企業などで既存の組織では解決できない事柄について、係や課の垣根を越えてクロスファンクションで取り組むこと、またはそのチームを指します。
本校の教科「プロジェクト」も同様で、新たな何かを創り出す教科です。
授業自体を創ったり、教育格差のワークショップを創ったりもしました。先生が手伝うことはしません。必要なものは自分で取りに行くことを指導します。
プロジェクトの成果を挙げるために何よりも必要なものは「チームの関係性の質」です。そして関係性の質を上げるのが「聴く力」です。「主張する力」では?という声もあるかもしれませんが、お互いが大事にしている価値観は当然違い、相手を変えることを主張するのではなく、受け止めることで共感が生まれます。共感が生まれたところからチャレンジやクリエーティビリティーが生まれます。
プロジェクト科では正解がない問題に対して自分がどう考えるのか、皆はどう考えるのか、自分と意見が異なる人とはどのように話を進めるのか、そこから全てがスタートします。
聴く力は人に対してだけ発揮されるものではありません。相手が本であれば自分が興味のなかった事とも対話(=読書)ができるようになります。「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」とは文部科学省が提唱している学力の3要素の1つですが、正にその力がついていることが実感できる事象です。
プロジェクト科で創った企画を2つご紹介します。
1 授業をプロデュース「2030年に無くなる職業は?」
良く耳にする今ある職業のうち65%はAIによってなくなるという問題です。実際にどのような職業がなくなって、どのような職業が残るのか、そして新たに生まれる職業とは?、聞くだけでなく自分のこととして考えてみました。実際の授業は専門家の意見も聞くとともに、本で調べたり、ネットを活用して考えます。自分なりの結論を学外の大人に向かってプレゼンテーションを行います。大人も本気で質疑応答に参加してくれ、白熱の場になりました。
2 キャリア学習をプロデュース「かえつ×JSBN」
生徒の疑問は『大学など大切な将来にかかわる進路を、社会を知らずに決めなくてはならないのは無理があるのではないだろうか』『世の中には思いもよらない経験や仕事を情熱をもって生きている素敵な大人が沢山いらっしゃるのではないだろうか』というものでした。
生徒は直ぐに実行に移しました。企業を訪問しキャリアイベントを企画したいと申し込みました。熱意が通じ、協力をいただけることになりました。自分達の企画なので、学校の先生達にも理解を得なければなりません。職員会議に出席し、企画をプレゼンしました。当日は40人からの社会の第一線で働いている方にお出でいただき、自身の体験談や会社での業務などを小グループ単位になって、話し合いました。
私学ならではの授業、かえつ有明中高の「プロジェクト科」はいかがだったでしょうか。
目の前の疑問・問題を生徒自身が解決をしていくことを学校で何度も実践し、社会に出たらどれだけ有為な人財が育つか想像してみてください。ちょっと素敵な未来が切り開けている成長した子供の姿が見えるのではないでしょうか。
※上記はNettyLandかわら版の抜粋です。全容はこちらをご覧ください。
かえつ有明中学校
[学校HP]http://www.ariake.kaetsu.ac.jp/
〒135-8711 東京都江東区東雲2-16-1 Tel.03-5564-2161
最寄駅/
りんかい線「東雲駅」徒歩8分。メトロ有楽町線「豊洲駅」から都営バス「都橋住宅前」徒歩2分。
メトロ有楽町線「辰巳駅」徒歩18分。