ソーシャルアクションを起こし、幸福度の高い人生を歩める人を育てる!
社会も価値観も変わった教育も変わる時がきた
「過去の100年とこれからの100年は全く異なります。私達は『未来からのコマンド』に立って、教育や学校を変えていくべき時にきています。良い大学名や会社名を得ることが目的ではありません。これからの社会を担い、自ら考える力を養う創造的でイノベイティブな生徒を新渡戸は育てていきます。それはすぐに目に見えて成績や進学実績が向上することを求めるものでもありません。自分で社会課題を見つけて解決に結びつけていく力を確実につける6年間になるでしょう」
2011年に学内アフタースクールの開校や、クラスの少人数化、中学校までの完全給食提供など、社会の変化や生徒たちに最適なことを常に考え、先駆的な改革に取り組んできた新渡戸文化学園。さらにその改革を推進すべく今年4月に新渡戸中学校高等学校の統括校長に就任したのが、林徹先生です。民間企業での人材育成から経営まで幅広い経験を持つ林先生は、経済・社会の大きな変化をまさに体感してきたからこそ、これからの社会を生きる子どもたちへの教育が変わるときにきていると実感しています。
「大きく変貌する社会構造、急速に進むグローバル化に日本は大きく遅れをとっています。富国強兵、高度経済成長、人口増加に向かってきた2000年までの日本の100年間と、真っ只中にある次の100年間は全く経済も社会構造も異なります。人口減少、労働力不足、成果や能力主義、社会保障や年金など公助から自己責任に代わりつつある。『これからの100年時代』と言いますが、もうとっくにスタートしているのに、その時代に育つ子どもたちへの教育は過去のままなのです。教育自体も変わる時なのです」
学校設立100周年となる2027年に向けて改革が進む新渡戸中学校の新しい教育スタイルには、全国から注目が集まっています。
幸せを創造できる人を育てる3人の改革者たち
教育現場で、共に新たな風を吹き込んでいるのが今年度から加わった3人のスペシャリストとも言える先生たち。校長補佐で国語が専門の小倉良之先生、学校デザイナーであり生物が専門の山藤(さんとう)旅聞(りょぶん)先生、英語が専門の山本崇雄先生です。
小倉先生を中心に推進する改革のテーマは「ハピネスクリエイターの育成」。偏差値よりも「幸福値」を主軸に置き、子どもたちの幸福な人生に寄与していくのです。
その基本指針となるのが、
「Core Learning」
「Cross Curriculum」
「Challenge Based Learning」
の3C。
〈Core Learning〉
すべての学びの基礎であり、子どもたちが自走するための知識と学習法を集中的かつ効率よく習得する。
〈Cross Curriculum〉
教科を超えてプロジェクトを遂行する練習。複数の科目に寄って知の再編集を図ることで、多元的世界観を構築する。
〈Challenge Based Learning〉
学びをリアルな社会課題につなげ、解決に向けてチャレンジしていくプロジェクト学習。さらに学びをリアルな社会とつなげるために、企業や団体などとの人脈を広げ、生徒一人ひとりが卒業までに100人の大人と繋がりを持つのが目標。
「この3つのCがスパイラルに連動し繰り返されることで、ハピネスクリエイターとしての知識・技能、思考力・判断力、学びに向かう力・人間性を育てていくことができます。学校だけではなく、人生を通して学び続ける主体としての人となっていくでしょう」と小倉先生は語ります。
中1ではそうした学びを実践する授業がすでに行われています。試験、朝礼、担任制など、既存の慣習から見直すとともに、SDGsを基軸とした理科と英語、社会や経済など教科を超えた授業の展開や「新渡戸Teacher’s School」という教員への定期的な研修もスタートしました。
「教師も変わらなくてはいけません。教科書にあるから教えるのではなく、『なぜそのトピックを教えるのか』、『その教育を通してどんな子供を育てるのか』、『それをどう授業で形にしていくのか』をイチから考え、クリエイトしていきます」(小倉先生)
生徒も教師も学び新渡戸は未来に進む
さらにこうした改革を実現するには、保護者や地域との協力や理解も不可欠です。SDGsの授業を担当する山藤先生はこう言います。
「子どもたちがSDGsの学びを通して社会課題やそれに取り組む大人たちや企業を知っていくと、自然と何かしらのアクションを起こしたいと思い始めます。6年間で一度はソーシャルアクション(社会問題解決のための行動)を起こしてくれるといいなと長い目で見守っています」
一緒に授業を担当する山本先生もゆとりをもって見守る姿勢で共に取り組んでいます。
「生徒たちが起こすかもしれないソーシャルアクションは強制するものではありませんし、一人ひとり時期が異なるでしょう。生徒たちには各自のペースでいいからこちらは待つよという保証をしています」
この実際の授業の様子や取り組みは、後半リポートで取り上げていますので、ぜひ読んでみてください。
こうした新しい取り組みは、動き続けます。より多くの授業で、そして多様な体験や視野を育てるためにも、さらなるプロフェッショナルな先生が新渡戸に集まる予定です。
「来年以降は、英語や数学など他の教科でも主体的にPBLをデザインし生徒と作り上げていけるような先生たちが新たに加わる予定です。今からすでに毎月集まり、どんなクロスカリキュラムなプログラムが提供できるか先生たちが真剣にそして柔軟に議論と実践を重ねています」(林校長先生)。
新渡戸から生まれる新たな教育と社会を動かす生徒たち。これからが楽しみです。
※上記はNettyLandかわら版の抜粋です。全容はこちらをご覧ください。
新渡戸文化中学校
[学校HP]https://www.el.nitobebunka.ac.jp/
〒164-8638 東京都中野区本町6-38-1 Tel.03-3381-0124
最寄駅/
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