生活の中から科学的な目を養う『理科実験』思考力を鍛え、答えが1つではないことを学ぶ
通常の理科の実験とは別に『理科実験』を週1で行う意味
専修大学松戸では、ユニークな『理科実験』の授業が行われています。この日、中学2年生は1時間目の理科、2時間目の家庭科を使って「理科×家庭科」のコラボレーション授業に取り組んでいました。課外授業で稲刈りをしてきた米をビーカーで炊く炊飯実験です。米が炊けていく様子を観察し、種類によって味が違うのはなぜか、などを理科と家庭科の先生が合同で指導します。
「カリキュラム通りのものは理科の授業の中で実験を行います。一方で『理科実験』では、生徒にとって身近なもの、見たことがあるものを使います。理科と普段の生活を結びつけてもらいたいということ、新たな視点で物事を考えて欲しいという意図があります。今回は、これまで別々に学んだ理科の知識、家庭科の知識、生活の知識を結びつけることができます」と話してくれたのは理科主任の井上結花先生。
家庭科とのコラボでは「紫キャベツと冷やし中華」という授業もあります。酸性中性アルカリ性で色が変わる紫キャベツの特性を利用して行っているそう。この『理科実験Ⅰ・Ⅱ』は中1と中2で実施されていて、中1は理科に関心と興味を持ってもらうこと、中2ではさらに深めることを目的としています。他にも体育とのコラボもあり、数学とのコラボも検討中なのだそう。コラボ以外では、溶岩を作ったり、卵の落下実験をしたりと、内容は多種多様。
「例えばイワシの解剖なら切り開いて臓器を見るだけでなく、胃の内容物を溶かして顕微鏡でプランクトンまで観察します。ここまでやると食物連鎖についても深く学ぶことができます。卵の落下実験は紙とセロハンテープを使って、卵を包む装置を作る課題を与えます。答えは1つではありません。『理科実験』では常に“考えてください”と話します。割れなければすべて成功なので、考える力が自然と養われます」(井上先生)
理科の基礎期にあたる中学時代にこのような実験を組み込むことで、その後の学習にも深く考察する力が出てくると言います。夏休みに課される自由研究では、学年が上がるにつれ『理科実験』を経験したからこそ生まれる、面白い内容を考えてくる生徒が増えるそう。高校に入ってからの物理・科学・地学・生物への意識やアプローチまでが変わっていくのだとか。
「実験はあえて予告をしません。ですから、楽しみにして駆け足でやってくる生徒がたくさんいます。2012年からの試みですが、確実に理系に興味を持つ生徒が増えてきていると感じています」(井上先生)
答えは1つではなく、失敗も経験させる『理科実験』。失敗から「なんでだろう?」が生まれ、深く考える力が、大学受験や社会に出てから生徒の強い味方になることでしょう。
※上記はNettyLandかわら版の抜粋です。全容はこちらをご覧ください。
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