19年度から高校でIBコースが始動。「日本人らしいグローバル人材」の育成が加速する
2017年にIB中等教育プログラムであるMYP認定校になった同校が、さらにパワー増進中。現在、高校のプログラムであるDP候補校で、19年度の高校入学生からIBコースを新設します。従来型の硬派な学力育成とともに、国際標準の教育を推進する同校のビジョンについて、校長の城川雅士先生と副教頭で国際教育部長の前田紘平先生にお話を伺いました。
IBで物事の概念を学び、世界標準の人間力を培う
「グローバル社会では多様な価値観を認め合うことが不可欠ですが、大人になると自分の価値観の変革は難しいものです。ですから、中高段階からやることに意味がある。IBは知識を学ぶことが目的なのではなく、知識を得て普遍の概念を学ぶのです。概念を理解できれば、知識も活用できるようになります」
IB導入の意味合いを、城川校長はこう語ります。2010年の中学開校以来、思いきった学校改革を重ね、「世界標準の人間力育成」と「従来型の学力育成」を両輪として躍進を続ける同校。来年度からスタートするIBコースは、探究型学習や英語力に特化した授業が中心になり、定員15名という少人数でスタートします。中高一貫生も、希望者はIBコースに進むことができます。
「DPは高2から始まるプログラムですから、高1はその準備期間として英語力や思考力を強化します」と、前田先生。IBのカリキュラムは世界共通ですが、扱う題材は各学校の現場に任されます。一つ実践例を挙げると、前田先生は、IBのシンボル的な教科ともいえる「知の理論(Theory of Knowledge)」の要素を取り入れた社会の授業を行いました。テーマは「理想はどこまで理想とされるべきか」。
「たとえば『良い大学に入って良い会社に就職する』ことを理想とすると、『フリーター』はその対極にある。これは本当なのかと話し合っていくのです。また『歴史で事実とされるものは本当か? 音楽には原曲と編曲があるがこれはどうか?』と縦横に展開していくうちに、生徒たちから『字の書き順は絶対なのか?』といったことも飛び出してきて、さらに喧々囂々と意見を交わしだします。これも、中学でMYPをやってきたからこその成果だと思っています」と前田先生。
正解が一つではないことを突き詰めていくからこそ、生徒も先生も真剣に考え、意見を交わし合う真の双方向型授業になっていくのです。
そして、従来型の学習で知識とスキルを身につける
「IBは、時代に即応して諸々の規定が変化・修正されますので、日本の教育とはスピード感が違いますね」と城川校長。つまり、「今日学んだ知識が、20年後も正しいとは限らない」ことを前提に、物事を多角的に見ながら本質を探る根源的な学びの姿勢を培うものです。これは新しい大学入試にも有効ですが、それ以上に、同校では「多文化共生」が至上命題になる、次代を担う生徒たちの人間力強化を目指しているのです。
「ただ、日本人の良さを忘れてはいけないと思います。欧米型のように相手を論破するだけではなく、折衷案など調整する力をもつ、そんな日本人らしい力を発揮できる人になってほしいですね」と前田先生。
全教科をIBで学ぶ同校ですが、では、いわゆる知識習得の面はどうなのでしょうか。そこは、城川校長が明快に答えてくれました。
「新大学入試で求められる力は思考力や表現力、コミュニケーション力が大きな比重を占めるといわれますが、考える力や社会貢献への意志を育てるためには一定の知識が欠かせません。ですから、とくに高校では生徒の希望する進路を実現するために、従来どおりの硬派な授業を行っています。『人としての器を広げ、その中に多くのものを取り入れる』中学3年間と、『硬派な授業で知識や活用力をつける』高校3年間は必要不可欠です」
左上の大学実績でもおわかりいただけると思いますが、英語を例に引けば、中学修了時の英検取得目標は準2級ですが、じつに84%の生徒が達成していることからも、同校の指導の充実ぶりがわかります。
同校の「手をかけ 鍛えて 送り出す」という合言葉のもと、世界標準の人間力と従来型の幹の太い学力の両軸を備えることは、生徒たちが将来、グローバル社会で活躍するための強力な土台になるはずです。
IBとは、スイスのジュネーブに本拠地を置く国際バカロレア機構が提供する国際的な教育プログラムのこと。現在、世界140カ国以上、約5000校がIBを実践。対象年代によりPYP、MYP、DPに分かれ、授業にはディスカッションやプレゼンテーションを多用。論理的思考力、コミュニケーション力、問題解決力、そして、社会貢献への精神を育成すると同時に、国際的に通用する大学入学資格(国際バカロレア)を与えるものです。
さらに、城川校長がわかりやすく教えてくれました。「IBは1968年、第2次世界大戦の反省を踏まえて、どの国の教育政策にも偏らない、グローバルな平和主義の視点に立脚した教育が必要と設けられたものです。人がもつ違いを理解し、多様性を共有することを目指して学び続ける姿勢を育むプログラムなのです」
つまり、IBは世界共通の最重要課題「世界平和」に向かうための学習法といえるのです。日本全国で46校の認定校(2017年末時点)がありますが、政府は200校に増加させることを目標としています。
4年連続で東大現役合格!
2018年春も東大(2名)、一橋大(2名)が現役合格!
左表のように、4年ごとの推移を見ても実績の倍増を重ねる同校。今春も、国公立合格56名(内現役49名)、早慶上理55名(46名)、G-MARCH137名(124名)と好調でした。中高一貫3期生(47名)のみの実績でいえば、東大をはじめとした難関国公立、早慶上理、GMARCHに38名が合格。「自分が本当に行きたい1~2ランク上の大学を目指す傾向が強く、結果が出なかった時は再チャレンジする生徒も珍しくありません」と城川校長が言うように、培われた視野の広さと向上心で、生徒たちは自分の将来への道を邁進しています。
東大2/東北大2/北海道大1/筑波大5/秋田大(医)1/国際教養大1/横浜国大5/一橋大2/千葉大4/東京学芸大4/早稲田大24/慶應大5/上智大7/東京理科大19/学習院15/青山学院大9/中央大18/明治大42/立教大27/法政大26
両道
女子駅伝は都大路へ!!! 女子バスケも初の全国!!!!
クラブ活動が盛んで、とくにアスリートの活躍が目覚ましい同校。近年、Jリーガーを輩出しているサッカー部は、今年も全国総体でベスト4に進出しました。また、ラグビー部も埼玉県大会で逆転優勝。初めてラグビーの聖地、花園へ。2回戦で破れるも、優勝候補を相手に大健闘を見せました。さらに、陸上部では女子が昨年、「埼玉県駅伝競走大会」で初優勝。全国大会でも47校中18位と、こちらも大健闘を見せました。これから冬の高校スポーツが本格化しますが、現時点で女子バスケットボール部が初の全国大会出場を決めています。スポーツでも努力が見事に結実する同校は、まさに「文武両道」を貫く進学校です。
※上記はNettyLandかわら版の抜粋です。全容はこちらをご覧ください。
昌平中学校
[学校HP]http://www.shohei.sugito.saitama.jp/jrhighschool/
〒345-0044 埼玉県北葛飾郡杉戸町下野851 Tel.0480-34-3381
最寄駅/
JR宇都宮線・東武伊勢崎線「久喜駅」よりスクールバス10分。