東京農業大学併設校ならではの大学連携授業実学主義を貫く「知耕実学」の総合学習
大学のリソースをフル活用した「知耕実学」の取り組み
道路を挟んで向かい側に東京農業大学のキャンパスが隣接している同校は、都心にありながら緑が多く恵まれた環境にあります。大学と連携して行われる総合学習では、大学の「実学主義」と同校の「知耕実学(=実学によって知を深く耕す)」の理念を受け継いだ、他校にはないユニークな授業を展開しています。
例えば、中2の「お米の科学」では、大学教授の指導のもと、でんぷんの形を調べたり、新米と古米の成分を比較したりと、どのお米が新しいものかを科学的に検証します。また、中3では、原料のダイズから味噌をつくる実習を行います。
これらは、充実した大学の研究施設を活用し、実際に研究者が用いる実験機材と研究手法で、本格的に行われます。教授は大学生を相手に説明するのと同じ意識で授業をしており、あえて中学生向けにはしていません。未知の内容に対しても、自分なりに試行錯誤する経験を通して、探究心を育む「実学教育」を体現しています。
課外活動にも広がる実学と大学連携
大学との連携と実学の取り組みは、課外活動においても盛んに行われています。その一例が、100名を超える部員数を誇る生物部の活動です。生物部では、班に分かれて様々なテーマで研究発表を行っており、全国レベルの成果をあげています。今春には、大学との共同研究を題材にした論文「キンギョの鮮やかな赤の源」が日本水産学会春季大会高校生ポスター発表の部において、全国ベスト10に入り、奨励賞を受賞しました。疑問に対し、自ら仮説を立て、実証する研究発表では、その一連の過程において、実験・観察・体験・探究などの実学の取り組みが行われています。
また、研究発表前に、大学の教授から、学会発表のためのプレゼンテーションやポスターセッションのための指導を受ける機会もあります。隣接している大学との連携が盛んな農大一中ならではの強みといえるでしょう。
実際に触れて感じる“いのち”の道徳教育
実学をもとにした総合学習は、科学的な知識を耕すだけのものではなく、生きることと向き合う時間にもなっています。稲作や味噌づくりの実習は、自分たちで作ったものを食べるところまでを授業としています。普段食べているお米や味噌も、植物という命から作られているということを実際に体験し、生きることの根幹に関わる“食”の大切さについて学ぶことも、総合学習のねらいです。
医学博士であり内科医としての勤務経験をもち、東京農業大学の教授でもある同校の田中越郎校長先生は、中1で“いのち”の授業を行っています。田中先生が、生を受けて生きることについて、様々なトピックを挙げて、生徒たちとともに考える時間を持ちます。医師として多くの命とかかわってきた田中先生のお話は、強く生徒の心に響きます。
農大一中の教育は「知耕実学」の理念を根底におき一貫しています。本物に触れ、感じ、学ぶ空間は、生徒たちの知識も心も深く耕してくれることと思います。それに加えて、大学併設校ならではの充実した環境での体験・感動は、他にはない魅力となっています。
※上記はNettyLandかわら版の抜粋です。全容はこちらをご覧ください。
東京農業大学第一高等学校中等部
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