第一志望大学進学にこだわる「英語の麴町」が新たな取り組みをスタート!生徒の興味・関心の幅をさらに広げるアクティブサイエンス
英語4技能教育の先駆けとして、独自の英語指導メソッドであるアクティブイングリッシュを導入し、「英語の麴町」として注目を浴びてきた麴町学園女子中学校。生徒の「自己肯定感」を高めるひとつの仕掛けという位置づけでもある英検の成果も飛躍的に向上し、現在では約6割の生徒が英検の2級以上を取得して卒業しているそう。そんな同校がこだわるのが、第一志望の大学への進学。進路選択においても安易な選択に走らず、まずは様々な領域について関心を持ってもらい、生徒自身が本当に興味を深めたことから、進むべき道を選択することを大切にしたい、と校長の山本三郎先生は言います。そうした思いのもとでスタートしたアクティブサイエンス。その取り組みについてプロジェクトリーダーの城之内悦子先生にお話を伺いました。
「気付く力」が生徒の可能性を無限に広げる
麴町学園女子のアクティブサイエンスは、6か年のうち中学の3年間で行う理科の授業プログラムで、本取り組みが目指すゴールは、同校の教育理念でもある「豊かな人生を自らデザインできる自立した女性の育成」を体現することです。
授業は原則1テーマ週4時間の授業から成り、実験や観察など、実際に手を動かし、体を動かしながら思考を深めるワークの時間が連続2時間、ワークの時間で得た学びを知識として体系化するための講義を1時間とし、計2時間で構成されます。
「アクティブサイエンスの授業では、『まずは自分で考える習慣をつける』ことを1つのアプローチとして重視しています。そのため、授業で扱うテーマは、身近な事象や事物を中心に、教科書には答えが載っていないものを扱います。教科書に載っている実験・観察を扱う場合にも、必ず+αの問いを出します。用語や定理を覚えることを中心に据えた教え方をしてしまうと、生徒によってはどうしても理科に対する苦手意識が芽生えてしまうことがあります。アクティブサイエンスでは、まず生徒に興味・関心を持ってもらうことから始め、生徒の『もっと知りたい』『もっと学びたい』という意欲を引き出し、学びが日常へと繋がっていくような授業の終え方ができる工夫をしています。今、世の中は便利なもので溢れ、それらに疑問を持つ、気づく、ということが一昔前と比べて難しくなっているといえます。アクティブサイエンスの授業を通して、普段は当たり前のように感じていることに関心を寄せ、様々な気づきを積み重ねることにより、結果として理科の領域に限らず、生徒自身にとって何が本当に興味があることなのかを見つけてもらうことができれば、アクティブサイエンスの第一段階は成功だと思っています。」(城之内先生)
「認められる」環境が生徒の主体性を伸ばす
今年がアクティブサイエンス導入の初年度となる同校では、生徒の授業への参加の積極性は先生方が想像していた以上に高いそう。各々が自由に発想し、その発想を物怖じせずに発信する姿に、たいへん驚いていると城之内先生は言います。
「本校では生徒の『自己肯定感』を高めることをことに重視しています。それが、自分にもやればできる、という気持ちを芽生えさせ、未知の領域にも思い切って足を踏み出す勇気にも繋がるからです。これは、予測が困難な今の社会においては、とても重要なマインドです。自分には無理かもしれない、と自身の限界を決めてしまうと、生徒自身の可能性を極端に狭めてしまうことになります。本校では、教員の生徒への関わり方はもちろん、アクティブイングリッシュや本校独自のキャリア教育『みらい科』など、様々な取り組みの中で生徒の自己肯定感を高める機会を充実させ、生徒の成長過程・特性に合わせた指導をしています。アクティブサイエンスの授業で見えた生徒たちの前向きな姿勢は、主体的な学びを引き出し、授業と日常とをひもづける実践として生徒一人ひとりの成長に繋がっていくことを再認識できる瞬間でもありました。」(城之内先生)
アクティブサイエンスでは、解が明確でないものを題材に扱うことが多いため、生徒の発想に対して「間違いである」という指導は絶対にしません、と城之内先生は続けます。
「アクティブサイエンスの授業では、生徒一人ひとりに仮説を立ててもらうことを大事にしています。それぞれの仮説を発表してもらうと、私たちでも考えつかないような発想も含めて、本当に多様な考えが出てきます。一見、冗談だと捉えられるような仮説でも、私たちは絶対に否定することはしません。次代においては、私たちにも何が正解になるのかは分からないからです。その中で特に大事にしているのが、『なぜそう思ったのか』という思考の過程を論理的に整理し、説明してもらいながら、生徒と一緒になってその仮説の可能性について考えることです。このように、自分の発想が認められ、それをみんなで一緒になって考える、という環境が、生徒の授業への参加の積極性に繋がっているのではないかと思います。」
発表の中でも発揮される生徒の個性
アクティブサイエンスの授業では、生徒の考えの発信の場でも、それぞれの個性が発揮されるそうです。
「アクティブサイエンスの授業では、テーマについて考えた仮説や、その検証結果などをレポートとして提出してもらいます。その際、教員からはレポートの体裁についての指示を出しません。アクティブサイエンスの中では、『相手に伝える』ということに主眼を置いて欲しいと思っているからです。よって、提出されるレポートを見ると、文章を書くのが得意で、文字中心のレポートを作成する生徒、絵を描くのが得意で、できるだけ相手の視覚に訴えることを狙いとするレポートを作成する生徒、人前で発表する意図をもって、プレゼン用のスライド形式でレポートを作成する生徒など、色々なスタイルでレポートが提出されます。どのような形式で伝えるのが得意なのか、またどの形式であれば、より伝えたいことが伝わるのか、という観点でレポートを作ってもらっているので、私たち教員側も、どんな形式であろうと公平に評価できるようにしています。生徒自身が自分の得意・不得意や、特性を理解した上で、個性が伸びていくような指導を心掛けたいと思っています。」(城之内先生)
「豊かな人生を自らデザインできる」進路選択の秘訣
「本校のアクティブサイエンスは、理系志望の生徒を増やすための授業ではありません(結果的に理系に興味を持ってくれれば、理科の教員としてはとても嬉しいですが)。生徒が自分の進路について考えるときに、自分の知っている世界が狭ければ、生徒自身の将来の可能性も狭めてしまうことになります。生徒には、たくさんの可能性や選択肢があることを知ってもらい、その中で生徒自身が本当に興味ある領域へ進んで行って欲しい、というのが私たちの想いです。」(城之内先生)
※上記はNettyLandかわら版の抜粋です。全容はこちらをご覧ください。
麴町学園女子中学校
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