体験型イベントにも、授業と同じ熱量で臨みます
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入試や授業の体験型イベントが目白押しの秋。10月には、多摩地区の私学15校による「たまサイエンス2018」、11月には、神奈川私学 10 校が参加した「まなびの会 コンパス2018」、首都圏私学21校が参加した「私学体験フォーラム in Tokyo 2018」と立て続けに、授業体験イベントが開催されました。学校の枠を超えて、現場の先生が協力して作るイベントです。 こうした、私学の先生方による授業を体験できる小学生対象のイベントに、当の先生方は、どのような気持ちで臨んでいるのでしょうか。 「たまサイエンス2018」に「偏光板で遊ぼう!」、「まなびの会 コンパス 2018」では「電気ブランコを作ってみよう!」を担当した桐光学園理科教諭の安達員博先生にお聞きしました。
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------安達先生は、いつから理科の先生をめざしたのですか。
高校生のときには、工学部に進んだらエンジニアに、物理を学ぶことになったら教師になりたいと思っていました。高校時代に楽しいと思ったことのない物理を専門にしてみると、物理って、公式を覚えて計算して、という教科ではなく根本は一つ、つまりシンプルな学問なんだということが分かってきて好きになってきたんです。地味すぎてわかってもらえない教科ですね。 教育実習に行った母校(私学)で受け持ったクラスは、とても雰囲気も良く、生徒と充実した時を過ごせました。ある生徒に、「先生に一言、声をかけてもらったから、遅刻しないように学校に行こうと思った」と言われたときに、何気なくかけた言葉だったので、教師という仕事の重さに触れた一方、やりがいも感じ、教師になりたいという思いが強くなりました。
------中高生とは知識も力も異なる小学生に授業をするときに、どのようなことを心がけていますか。
もちろん桐光学園でやっている授業そのものができるわけではありませんが、この一時間をおもしろいと思ってもらいたいというのが一番です。取り上げるテーマ決めから、授業計画、材料準備など当日までにやるべきことは、普段と同じくらいの熱量を注ぎます。そんなに器用ではないですから、イベント用に雰囲気やスタイルを変えるというようなことはできません。そういう意味では、授業体験イベントは、まさに私学体験と思ってもらえるのではないかと思います。僕は、一方的に話して教え込むような授業は苦手で、聞いて、返して、 確認して、という生徒とキャッチボールしながらの授業を心がけています。イベントでも、その雰囲気を感じてもらえるのではないでしょうか。 イベントでは、使った(作った)ものを持って帰って家でもう一度やってみたり、調べたりできるような内容にしています。楽しかったイベントが、その子の好奇心につながってくれたらいいなと思っています。今日(学びの会コンパス)は、ちょっと工作に時間がかかってしまったのは反省点です。たまサイエンスでは偏光板を使った実験をしました。地味過ぎたかなと思っていましたが、小学生が地道に作業をやりきったことに感動して喜んでくれたのは、とてもうれしかったですね。なぜそうなるのかを説明したときの反応も純粋で、瞳がキラキラしています。そんな姿に出会えるので、イベント準備の忙しさに心が折れそうになっても、やりがいを感じます。
------理系に進みたい生徒には、どのようなアドバイスをしていますか。
先ほど話した小学生の反応と同じですが、普段の授業でも、地味な作業のあとに理論的に法則を解説すると、生徒は感動してくれます。小学校で学んだことを高校で証明できるようになるのも、喜びにつながっているようです。 進路を考えるときには、何になりたいかで選択科目が変わってきますので、まずそこから。 授業のときの発問に楽しい、鋭い反応を返す生徒からは、物理が好きなんだろうという気持ちを感じます。好きなのにテストで点数が取れない子は、努力不足だと思うので、そこのところはきちんと指導します。物理が苦手だとか嫌いだと感じている生徒には、理論も噛み砕いて教えて、そう思うようになった先入観やきっかけを取り除いてあげるようにします。どちらの生徒にも、物理の面白さを伝えたいと思っています。