特集

ランドセル売場と働く女性のためのスーツ売場を探検

ランドセル売場と働く女性のためのスーツ売場を探検

今回は、視点を「学校」から「生活」に変えて、ランドセル、女性のビジネススーツについて取材しました。

-------------------------------------------
今時のランドセル事情
-------------------------------------------

「いちねんせい」になる子ども達にとって、ランドセルは希望のつまった宝箱。ご家族には、我が子の成長の喜びを感じさせてくれることでしょう。そのランドセルの販売時期が早くなっているというニュースを聞いて、今のランドセル市場を知るべく、横浜髙島屋のランドセル売場を訪ねました。

【早まる販売スタート】
 百貨店やランドセル工房によって販売時期は、多少前後するかもしれませんが、髙島屋の場合、各店で今年は3月31日(土)から販売がスタートしました(昨年は4月1日)。昨年売上のピークは6月。今年も同時期になりそうな勢いで、ゴールデンウィーク以降の土日の売場は、子どもを連れた祖父母・父母の来店が途切れない状況だったといいます。取材日、6月初旬の平日にも関わらず、わずか30分の間にも、売場を訪れるご家族の姿は途切れませんでした。3年前までは夏休み期間中がピークでしたので、2〜3ヶ月早まっていることになります。
 購入前に、祖父母や父母がインターネットやカタログで調べたり、複数の店舗に出向き比較検討したりする、『ラン活』(ランドセル活動)が活発化していることも、販売時期が早まっている背景のひとつだといいます。また髙島屋では、ランドセルの基礎知識、背負い方体験など、『ランドセルお勉強会』(予約制。無料)を開催。横浜店で5月に開催された際は定員いっぱいの参加があったそうです。
 最近は、子どもの両親双方の祖父母がいっしょにランドセルにお金を出し合うケースも増えているようで、購入の平均価格も上昇する傾向にあるそうです。髙島屋の昨年平均単価は約64,000円で、前年比約2,000円増。
 
【カスタマイズで個性を演出】
 保護者世代のランドセルは概ね、女子は「赤」、男子は「黒」だったかと思いますが、今は色の選択肢は多彩です。女子は赤やピンクのほか、キャメル、ブラウン、ネイビーといった色も人気。デザインはシンプルでも、別売りのリボンや鋲で個性を演出できるものの人気も高まっているとのことで、髙島屋ではそのニーズに対応するため、付け替えリボンも6〜8色展開しています。男子は依然として黒が主流ですが、ステッチやパーツに赤や青のワンポイントが入ったもの、スポーツブランドのロゴ入りが支持されるというように、男女で違いがあるようです。戦隊モノ好きの男子は赤に惹かれるものの、ベースは黒、ステッチに赤を効かせたデザインで、といったケースなどに対応できるほど、種類が豊富です。
 また、ランドセルは6年間毎日使うだけに、素材も選択のポイントで、軽くて丈夫な人工皮革が主流です。他にコードバン(馬革)、牛革といった天然皮革を使用したモデルの人気も高まっているようで、「子どもに上質なものを持たせたい」という思いを反映しています。

【タブレットケース付き】
今年、髙島屋で展開数を昨年の1型から3型に増やしたのが、「タブレットケース付き」のモデルです。2020年のプログラミング必修など小学校でもタブレット端末の活用が進むことから、本体に取り付け可能なケースを付属でモデル投入。入学後に実施される改革を先取りした形で、我が子の教育環境への関心が高いご家庭の支持を得そうです。
 ランドセル市場は景気にあまり左右されないとのことで、時期、ラン活、素材、売れ筋価格帯からも、家族の有り様や価値観が変わっても、新入学のお祝いという特別な贈り物であり続けていることが分かります。

--------------------------------------------------
働く女性のためのスーツ編集売場
--------------------------------------------------

5月に公表された、厚生労働省の「21世紀出生児縦断調査」結果によれば、2017年に小学1年生だった子の母親の仕事を持つ割合は67%で、2008年の同様の調査から11.4ポイントの上昇です。常勤、パート・アルバイトなど、さまざまな就業状況で、女性の就業人口は確実に増加しています。それに伴い働く女性のファッション市場にも影響がみられます。女性のビジネスシーンのファッションについて、横浜髙島屋販売部(婦人服)の担当者に話を聞きました。


【今夏、女性のクールビズを初提案】
 髙島屋では昨秋、新宿店と横浜店で、女性のスーツ編集売場「スーツクローゼット」をオープンしました。今春は日本橋店オープン、今後は大阪店、京都店でも展開していく予定で、女性のビジネスシーンのファッションにおける需要の高まりを伺わせます。
 職種やシーンも多様化しており、今夏、女性のクールビズを強化する髙島屋のスーツクローゼットを覗くと、機能性とデザイン性を兼ね備えたスーツが提案されていました。実際に着る女性の声を反映した独自の商品開発を行い、出張や移動に便利なパッカブル(持ち運び可能)、手洗い可能、襟や脇の汗対策パット、名刺などを入れる内ポケットなど、細部にまで工夫が施されています。

【スーツ編集売場のメリット】
 スーツクローゼットは、店内外にある約15ブランド(横浜店)からスーツやジャケット、ワンピースなど、働く女性のさまざまなビジネスシーンで活躍するスタイルを一カ所に集めている、編集売場です。
 ビジネスシーンでもカジュアル化が進んでいますが、スーツが必要なシーンは依然としてあります。購入する際、試着しながら複数ブランドの売場を回るのはただでさえ骨が折れますが、子ども同伴ではなかなか落ち着いて選ぶことはむずかしいものです。そこで、スーツにフォーカスした編集売場が登場。新社会人から、人とちがうものを選びたい中間管理職間で幅広い層の女性の支持を得ているそうです。
 髙島屋では、オーダーシャツメーカーの山喜によるリーズナブルなパターンオーダーのシャツ(横浜店)など、幅広いニーズに対応しています。
 女性の活躍の場が広がり、かつ多様化する社会を反映したファッションや売場のニーズは高まっていくでしょう。

取材協力:髙島屋横浜店、株式会社髙島屋広報・IR室