桐朋女子中学校「生徒が作る説明会(大人が出てこない説明会)」
2019年10月27日(日・10:00〜12:00)の桐朋女子第2回中学校説明会は、「桐朋女子史上初となる生徒が作る説明会(大人が出てこない説明会)」ということで、想像を逞しくしながら学校へ向かいました。
□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
生徒・生徒・生徒
□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
学校に着き、初めに出会った大人は、校門脇の守衛さん。
そこから先はお迎え、誘導、受付に至るまで全て生徒。タイトル通りだわ・・と思いつつ受付に並び順番を待ちました。
生徒が受付で名簿(事前申込)をチェックしながら、何やらシールを配っているのが見えました。おぉ、なんだか仕掛けが姿を現し始めたような・・。
ワクワクのスイッチON。
受験生に渡す名刺大のシール(5色)にはファーストネームを手書き、同伴の保護者にもシールを渡し、それぞれ見えるところに“入場券”のように貼って会場(ポロニアホール)へ向かいました。ホールのエントランスに置かれた長机には学校案内パンフレットや要項、帰国生教育リーフレット、生徒が作ったパンフレット、持ち帰り用の手提げなどが並べられており、必要なものだけピックアップしてからホール内への導線ができていました。資料フルセットを配る(受け取る)ということから解放されているのもありがたいです。
さて座席はシールの色別にゾーンが決められており、緩やかに位置を指定されます。前半分くらいは受験生用で、背もたれには「謎解き! 校内探検」という張り紙。後ろ半分が保護者席。そして開会まで、前方スクリーンには、文化祭・体育祭はもちろん、休み時間、掃除、部活等々の生徒同士の元気いっぱいの日常生活が垣間見える映像が流れており、百の言葉よりこの笑顔というくらいに、これでもか!と学校生活の充実ぶりが伝わってきます。
開会宣言の後、まずギター部によるウエルカム演奏が3曲。仲間の音を聞き、顔を見合わせながら奏でるハーモニーに緊張が解れていきます。
□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
桐朋女子の生活について
□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
さあ、説明会。司会は高校2年生のお二人。
「初めに校長挨拶です」ということで、「本日2人目に出会う大人が校長先生か・・・」と思いきや、「本日は生徒主体の説明会なので、校長先生も動画です」。この時、極めて平均的、形式に慣れ切った私が待っていたのは「校長先生が教育理念を語り挨拶をしている動画」でしたが、スクリーンに映し出されたのは「生徒が校長先生にインタビューしている動画」。しかも「桐朋女子の、直したいところは何か」「魅力を伝えるためにメディアを利用して宣伝しないのはなぜ」という、およそ校長挨拶では出てこないであろう質問でした。インタビュー後の校長先生の感想、生徒の感想までトータルで見事に、挨拶パートになっていたのでした。
続いて高校1年生3人による「桐朋女子の生活について」。たっぷり時間が取ってあり、『授業』『生徒・日常生活』『行事』『その他』に分けて、三者三様の経験を披露してくれました。3人の背景が、中学入試で入った帰国生、高校入試での入学、併設小学校からの内進生とバラバラで、それもまた自然に桐朋女子の多様性をさりげなくみせる心憎い人選。
*授業
特徴としてあげられたのは、まず“レポートが多い”、“テストが多い”。そんな、ちょっとネガティブに取られそうなことは、自分たちが上達していること、中間・期末という単位ではなく単元ごとのテストなので力が定着する良さを伝えて、安心させてくれます。「レポートは中1の時から書いて来て、ダメ出しを受けるたびに直して上達してきました」「高校から入って、もう2〜3本書きましたが、難しいです。周りがスラスラ書いているのが刺激になります」
そして“発言が自由”という桐朋女子らしさは、いろいろな考えがあることを聞けるし、間違った答えを頭から否定しない雰囲気があることだと説明。また、7つの理科実験室を持ち、社会や理科のフィールドワークが多い特徴を“本物に触れられる”と誇らしげに語ります。剣崎の地学巡検では地層のスケッチ、レポート。都内巡検では、銀座を歩いて地元の商店街と比較など紹介された事例も、楽しそう。
曰く「授業感はあまりないけど、やった感はあるよね」
*生徒・日常生活
生徒・日常生活で挙げられた特徴は、“自由人” 、“活発”、 “個性豊か”。
「一人ひとりの居場所がある、一人ひとりが活発になれます」「休み時間に笑いが絶えない。自分たちで動物園って例えています」「毎年クラス替えがあるので、クラスをまたいで輪が広がります」「いろいろな国からの帰国生が多いので違う視点からの刺激があります」という実感から発する言葉には、大きな説得力があります。
そんな生徒ばかりだと、逆に冷めている子だっているかも、引いてしまう子もいるかも・・。そんな不安が頭をもたげますが、数多い“クラブ活動”(兼部も多いそうです)や、『行事』と『その他』の様子を聞くにつけ、入学したらそれぞれのスピードで桐朋女子の生徒になっていくのも頷けます。
*行事・その他
桐朋女子の生徒の、体育祭や文化祭にかける熱量はつとに知られていますが、“生徒が主体”であることがエネルギーを生む源になっていると感じます。学年対抗の体育祭での団結は、何より象徴的ですが、「綱引きで勝つための水2リットル飲んで体重増加作戦」のような「熱い青春」は、その発露。行事には、準備、当日、反省のサイクルがあり達成感を伴っていることは見逃せません。
“生徒と先生の距離が近い” 、“積極的・社交的になる”という、桐朋女子の特徴も、登壇した3人(途中で、もう1人、生徒会副執行長も登壇したので実質4人ですが)が語る飾らない日常の姿が示してくれたのではないでしょうか。
最後に入学してよかったこと。
「やりたいことがたくさんある。それを後押ししてくれる学校」
「人が変わったと言われます、ずっと喋っているねって」
「いろいろなタイプの友人ができます」
苦労したことも赤裸々に話してくれました。
「積極的、活発な子が多いので、考え方が合わないとケンカも多い」
「個性的な子が多いので、始めは気を遣って疲れました」
「意見がぶつかり合うのは辛いです」
でも今、桐朋女子を好きでたまらないのは、「違うから学べる」「違うから楽しい」と思えるようになるからだと、それぞれの話から伝わります。自由で活発な人が輝く場所でもあり、今の自分を変えたいと思っている人が刺激をもらえる環境でもあるのだと受け止めました。
ここで受験生は、シールの色ごとに生徒に案内されて『謎解き!校内探検』に出発。保護者対象には別プログラムが用意されていました。